【獣医師監修】猫の慢性腎臓病と療法食|論文から読み解く食事管理の重要性

猫 慢性腎臓病

最近は獣医療の進歩により、ネコの寿命が延び、高齢のネコも珍しくなくなってきました。

それに伴い、よくみる病気のひとつとして挙げられるのが、慢性腎臓病(CKD)です。
CKDの治療では食事管理が重要であり、適切な食事は生活の質や寿命にも影響するといわれています。

今回はいくつかの論文に基づいて、ネコのCKD用療法食について解説していきます。

監修獣医師

川本 紗弓
川本 紗弓
獣医師・ペット栄養管理士

日本大学 生物資源科学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務した経験を経て、毎日の食事が犬猫の健康に大きな影響を与えることに気が付き、栄養学の道に進む。専門は犬猫だが、鳥も大好きで、家族のシニアインコを溺愛。

ネコの慢性腎臓病(CKD)とは

ネコの慢性腎臓病(CKD)とは

CKDとは腎臓の機能的障害が3ヶ月以上持続している状態と定義されています。
一度失われた腎機能は基本的に回復することはなく、進行性に経過することが多い病気です。

ある調査では、10歳以上のネコでは約16%、15歳以上では30%以上がCKDを発症していると報告されています。参照(1)

症状としては以下のようなものがみられます。

  • 多飲多尿
  • 体重減少
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 元気消失
  • 脱水

しかし、CKDの初期症状だけでは気づきにくいことが多く、見逃しがちです。
年齢のせいにせず、定期健診などでチェックしてもらいましょう。

ネコがCKDと診断されたら療法食を勧められることが多いです。
CKDの進行管理において、療法食は多くの研究で生存期間や生活の質の改善に寄与することが示されています。参照(2)
多くの研究に基づいて設計された療法食を活用することで、少しでもCKDの進行を緩やかにして、ネコのQOL改善に繋がる可能性があります。

参照(1):Chronic kidney disease in dogs and cats.
Bartges JW , Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice, 2012
参照(2):Chronic kidney disease in small animals.
Polzin DJ , Vet Clin North Am Small Anim Practice, 2011

CKDで重要とされる食事内容

CKDで重要とされる食事内容

ネコのCKDは以前からよくみられる病気であり、多くの研究が行われてきました。
そんな中でも今回は以下の論文を参考に、CKD用療法食について解説していきます。

参照(3):Survival of cats with naturally occurring chronic renal failure: effect of dietary management.
Elliott J, Rawlings JM, Markwell PJ, et al , J Small Anim Pract 2000
参照(4):Retrospective study of the survival of cats with acquired chronic renal insufficiency offered
different commercial diets.
Plantinga EA, Everts H, Kastelein AMC, et al. 2005

療法食の科学的根拠

CKDのネコに療法食を給与したところ、通常の維持食を給与したネコと比較して、生存期間が2倍以上延長されたという報告があります。参照(3)

療法食の特徴

療法食の特徴

①リンの制限
リンの過剰な蓄積は二次疾患の併発やCKDの進行加速に繋がります。参照(1)
多くの腎臓用療法食では、乾物ベースで約0.3~0.6%程度に調整されています。

②タンパク質の適度な制限
CKD用の療法食は維持食よりもタンパク質含有量が低く、ネコでは乾物ベースで28~35%程度に調整されています。参照(1)
ただし猫はもともと肉食動物です。
過度なタンパク質の制限は筋肉量低下などに繋がります。参照(2)
そのため、アミノ酸バランスに優れた良質なタンパク質を使用することで、必要なアミノ酸を確保しながら、タンパク質から生じる廃棄物(尿素窒素)産生を最小限に抑えることが重要です。

③カリウムの補充
ネコのCKDでは、重症度が上がると低カリウム血症がみられることがあります。
低カリウム血症は筋力低下やCKDのさらなる悪化を招くため、療法食では乾物ベースで0.7~1.2%のカリウムが含まれるよう調整されています。

サニメド猫用リーナル
動物病院専売 療法食 サニメド

SANIMED

猫用リーナル

慢性腎臓病の栄養管理のため、リン、タンパク質などの含有量を調整した食事です。

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の腎臓保護作用

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の腎臓保護作用

ネコのCKDにおける食事管理において、オメガ3脂肪酸の役割は重要なポイントのひとつです。
オメガ3脂肪酸を豊富に含む療法食を給与されたネコで生存期間が長かったことが報告されています。参照(4)

オメガ3脂肪酸が腎臓を保護するメカニズムとしては以下が考えられています。

  • 炎症の抑制:腎臓の炎症を促進させる物質の産生を抑制
  • 糸球体内圧の低下:腎臓への負担を軽減
  • 血圧の低下:全身の血圧を下げて腎臓を保護
  • 抗酸化作用:酸化ストレスを軽減
  • タンパク尿の軽減:腎障害の進行を遅らせる

療法食におけるおいしさの重要性

療法食におけるおいしさの重要性

CKDのネコにとって、療法食のおいしさは非常に重要な要素です。

食欲不振との戦い

CKDのネコは尿毒症による消化器症状、口内炎などにより食欲不振が起こりやすく、栄養状態の悪化やCKDの進行に繋がります。参照(2)
どんなに優れた栄養バランスの療法食でも、ネコが食べなければ意味がありません。
実際に、「ネコが療法食を食べてくれない」ことは療法食切り替えに失敗する大きな理由の一つと考えられます。

嗜好性の重要性

CKDの治療においては、ネコが療法食を食べてくれることが重要です。
そのため現代のCKD用療法食はネコが食べてくれるよう、以下のような工夫がされています。

  • 高品質なタンパク質の使用:栄養価とおいしさの両立
  • 嗜好性を高める香料の添加:自然由来の風味付け
  • 食感の工夫:ドライフードとウェットフードの選択肢

食欲不振への対策

食欲不振への対策

ネコが療法食を食べない時は以下のような工夫が推奨されています。参照(2)

  • 段階的な切り替え:数週間かけて徐々に療法食に切り替える
  • 温める:体温程度に温めることで香りが立つ
  • 少量頻回で給与する:1日3~5回に分けて少しずつ与える
  • 食器や場所を変える:新鮮な気持ちで食べられる
  • ウェットとドライの併用:飽きさせない

無理やり食べさせようとすると、療法食に対する嫌悪感をもってしまう可能性があるため避けた方が良いです。

サニメド猫用リーナル
動物病院専売 療法食 サニメド

SANIMED

猫用リーナル

慢性腎臓病の栄養管理のため、リン、タンパク質などの含有量を調整した食事です。

まとめ

ネコのCKDは高齢ネコによくみられる病気ですが、適切な療法食を給与したネコでは生存期間の延長やQOL改善に寄与する可能性が報告されています。
療法食のポイントは、リンやタンパク質だけでなく、オメガ3脂肪酸による腎臓の保護作用、そしてネコが美味しく食べてくれることです。

サニメドでは、慢性腎臓病のネコに配慮した食事として「猫用リーナル」をご用意しております。
サーモンオイルを配合し、栄養バランスだけでなく嗜好性にも配慮した設計となっています。
また、500g製品は100gずつの小分けパックになっており、開封後もフードの鮮度を保ちやすく、最後まで美味しく与えていただけます。

サンプルのご用意も可能ですので、食べてくれるか不安な場合は、かかりつけの動物病院またはお問い合わせ窓口よりお気軽にご相談ください。

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